* ポロック、 フラクタル、アーホ
2014/10/14 | Filed under アート | Tags アーホ, フラクタル, ポロック.ロンドンでいろんな市民講座を展開しているGresham Collegeの講座は、ネットで視聴自由です。
その中で、少し前に、マーカス・デュ・ソートイさんが「Secret Mathmaticians」と題した講演をされていて、すごくおもしろかった。この方は、「素数の音楽」などの著書でも知られていて、イギリスではとても有名な数学者。BBCの科学系ドキュメンタリー番組(いわばNHKスペシャルみたいな)にも、よくパーソナリティーとして出演されています。
講演の内容は、音楽や建築、アートなどの中に意識的、または無意識的に見え隠れする数学的アイデアを紹介するというものでした。
音楽では、リズムパートと和音パートのそれぞれが29こと17こ、つまり素数で一固まりになっているのを2つ重ね、絶対に音が重ならないようにした曲とか(不安な気持ちを表現した音楽です。。。)、幾何学的な比率を重要視して構成された、ル・コルビュジェの「パラディオ」という建物のお話とか、もりだくさんな内容。
そして、フラクタル構造(小さな部分が、より大きな部分の相似形になっているような構造)を持つ絵というのも紹介されています。その話題で登場するのが、まずはダリ。(31:10)
ダリは、じつはかなり数学的なアイデアを好んだ画家だったとのこと。作品の中に、骸骨の目と口の中に小さな骸骨がいて、またその目と口の中にはまた骸骨が、、、というような、フラクタル構造になった絵があるのを知りました。なんだか、見ていると可愛い感じもする骸骨ですが。。。
そして、意外なことにはジャクソン・ポロックの絵も、フラクタル構造になっているというのです。ソートイさんが、講演の中で、縮尺のちがうポロックの絵の部分を見せてくれていましたが、たしかに、縮尺がちがっても同じに見える。。。(32:48)
ポロックは、絵を描くときは常に泥酔状態で、それを意識してやっていた訳ではないようだということ。ただ、まず大きなストロークで絵の具をたらし、だんだん小さくしていくという描き方が、フラクタル構造を作ったようです。
それでちなみにソートイさんが自分でポロックの真似をしてみたという絵も、パワポで見せてくださってます(34:49)が、本人も認めておられるように、たしかに、ポロックとは構造の奥行きがちがう。ポロックの絵に不満を持つ人はすごく多いけど、ポロックと同じクオリティを出すのは、実は難しいとのこと。(ほんとかな〜?)
実は私も、ポロックの絵には不満を持つ一人です。っていうか、こういうことを、アートだよと言って敢えてやったという意味では存在感があるのかもしれないけど、絵としてこれを眺めていたいかというと、とくに。。。でも、こんなふうにフラクタル構造だというふうに聞くと、楽しめました。アートの楽しみ方の1つという感じです。
ポロックと言えば、以前、東京に泊まった時に、深夜番組で、千原ジュニアが司会しているおもしろいテレビ番組を偶然見たのです。アートを「アーホ」と呼んで、今の時代の「よくそんなこと思いついたね」と言いたくなるような変わった作品を作っているアーティストを紹介するという番組。
なかばギャグにしながら、でもやっぱり感動できたり、圧倒されたり、大笑いもできるという切り口。いろんなアートがあって、「売約済み」などに使う、丸いシールを使って、巨大な夜景の絵を描いている人や、実験に使われたあとのハツカネズミの骨だけを使って、タンポポなど花の形のオブジェを作っている人とか。。。この骨のオブジェには、涙を誘われました。
そこで出ていたのが、イタコにすでに亡くなった有名アーティストを呼び出してもらって、のりうつった状態で絵を描いてもらうというのをパフォーマンス動画にして、作品として発表してるというアーティスト。
動画を見ると、イタコさんに「あなたの名前は?」と聞くと「ジャクソン・ポロック〜〜」とフルネームで、でも日本語発音で答え、あとは「憑依した」状態で、絵の具を床に置いたキャンバスにバシャバシャかけていくというあの方法で、絵を描いている所が出てきて。。。
大笑いしましたが、この番組のアート(アーホ)の紹介のしかた、とにかく秀逸です。ただアートをバカにしてるだけでは出来ないし、かといって大上段から大まじめにアートを論じてもできない、というか、そういう態度は一瞬にしてパロディ化される状態。センスの良さ、インテリジェンスを感じたなあ。(字幕つきでイギリス人に見せたらきっと、おおウケしそうです)あの番組、まだ続いてるのかな。もっと何度も見たかった。→と思って、YOUTUBEで検索したら、総集編らしいバージョンが出てきました。私が見たのは、たしか2年くらい前。イタコのポロックさん、中にあるのか、まだ未確認です。
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