Archive for November, 2006
* 生地のなまえ
2006/11/24 | Filed under リネン | Tags .LINNETで新しい色やデザインの生地やリネン糸を作ったとき、名前をつけるようになりました。
たぶん、品番だけでは間違えてしまうし、生地の織り方や単純な色名だけではなく、ひとつひとつの色やデザインを考えたときの思いとか、そういったものをこめて名前をつけたいと思ったのがきっかけです。その方が、きっとイメージをよりお伝えできるし、種類がすこしずつ増えても、わたしたちにとっても区別がしやすいからです。
今月は、オリジナルデザインのピートツィードのチェックを2種類アップしました。ブラックウォッチは、ベーシックなブラックウォッチだけれど、LINNETらしいひと味違うものを作りたくて、デザインを起こしたものですが、ブラックウォッチというベースがあるということでその名前を踏襲しました。ブラックウォッチというのは、スコットランドの警備隊のことなのだそうですね。サンドパイパーは鳥の名前で、日本では「イソシギ」と呼ばれています。イソシギは水辺にいるかわいらしい鳥で(でも小鳥というより、やや大きめ)、ひそかに動物&鳥図鑑を眺めるのが好きなわたしは、このチェックが出来上がったときに、迷わず「サンドパイパー」という言葉が浮かんできました。
プレーンなリネンや糸につける名前は、つい絵の中の色を思うときのような気持ちでつけるものが多くなります。今月の新しい色は「ヘザー」、heather、エリカとか、ヒースとか呼ばれる花の名前。日本でも鉢植えでおなじみです。いつも使う色鉛筆の中の、好きな色の中にこんな色があり、その色名が「ヘザー」だったから、この名前にしました。ヘザーは低木で、この間書いた「嵐が丘」という小説の舞台にもなったイギリスのmoor(荒野)と呼ばれる場所には、いっぱい自生しているのだそうです。わたしは、実際に自生しているのを見たことはないのですけれど、ヘザーの花は、ひとつひとつはもっと鮮やかな色です。でも、写真で見ただけなのですが、茶色い岩肌が所どころ露出している草原にヘザーの花が咲いているときに、こんなふうにスモーキーな渋い色に見えるように思います。このシリーズのリネンは、どうしてか実際に企画していたとき以上に、出来上がると品の良い色になります。発色がどことなく渋く、ほんとうにシックな雰囲気に仕上がるのです。ヘザーも、期待していた以上にすてきな色になりました。余談ですけれど、イギリスでは「ヘザー」は女性の名前としてもポピュラーみたい。ポール・マッカートニーの2番目の奥さんの名前もヘザー・ミルズさんでした。
グリーンのリネン糸には、草木の名前をやっぱりつけたくなります。エルダー(にわとこ)ホーリー(ひいらぎ)、それにルーはハーブの名前。鮮やかな青緑色の葉っぱがとてもきれいなミカン科のハーブです。ひとつひとつのリネン糸の色を眺めながら、草木の香りをおもいうかべます。
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* 少年少女文学全集
2006/11/20 | Filed under 本 | Tags .結局1ヶ月に一回しか更新できていないブログ状態・・・どうしてかフォントのサイズを変えるツール画面が消えて、どこに行ったかわからなくなったりして、まごまごしています。
この間、スタッフと子供のとき読んだ本の話になりました。前回、「こうさぎましろ」のことを書いたけれど、実際わたしの子供の頃は、今ほど絵本が豊富になかったような気がしますが、わたしよりもかなり若い世代のスタッフたちも、わりと同じ気持ちのようでした。そのかわり、お話の本みたいなのが今よりもずいぶんあったように思います。ゲームとかもなかった時代ですし、子供が家で退屈する時間も結構あって、ずーっと読んでいられる本は、それなりの需要があったのかもしれません。
わたしの家にあった本の中で、大きな場所を占めていたのは「少年少女文学全集」みたいな本。ほとんど大人向けと変わらない文章で、ただふりがなが多いような感じのものでした。その中にはスタンダールの「赤と黒」とかモーパッサンの「女の一生」とか、トルストイの「戦争と平和」とか、あとエミリ・ブロンテの「嵐が丘」なんかが入っていて、今あらためて考えると、子供の読む本の内容としては、セレクトがシリアスで重過ぎるのでは、と思うのですが、小学5〜6年の頃、結局それしか読むものがないので、読んでいました。今どきの小学生は、「チャーリーとチョコレート工場」とか、楽しそうなものをいっぱい読んでいるみたいなので、ちょっとうらやましい気がします。
正直言って、スタンダールとかモーパッサンなんて、今時仏文の大学生でも、あんまり読まないんじゃないかと思うんですがどうなんでしょう。「赤と黒」は、貧しくて出世欲に燃えた美青年が、家庭教師先のお母さんと不倫の恋をして、欲望と出世欲に翻弄されたあげくに破滅するというストーリーですし、「女の一生」は、ほんわかして苦労を知らない裕福な家庭で育った少女だった主人公のジャンヌが、恋をして結婚するけれど、夫は浮気ばかりして夢破れて・・・みたいなお話でした。そんなストーリーを小学生に読ませるって、どうなの?それに、時代背景がよくわからないから、「赤と黒」なんてそれほど理解できなかったです。でも、不思議なんですが、子供なりに何となく「このお話はなんだかすごい」とか、そういう事は感じてたような気がします。「このお話は、お説教臭いだけだな」とか、思ったりしていましたし・・・でも「戦争と平和」は長過ぎてどんなお話だったか、もう忘れてしまいました。
一番あとまで心に残ったのは、「嵐が丘」で、子供ながらに読んだあと強烈な印象を持って、おとなになってからも何度か読み返しました。「嵐が丘」などは、言ってみれば「文学のアンティーク」みたいなもので、そこに今の製品としてのものも売られているのに、なぜかアンティークのリネンのタオルとか、レースとか、洋服に惹かれるのと同じようなものかもしれません。いろんな角度から謎解きができたりして、構造が単純ではなく、時代を超えていく魅力があるような気がします。子供には重かったですが・・・
子供としては、当時一番好きだったお話は、「秘密の花園」だったかな、と思います。鍵がかかる花園=お庭というイメージがあんまりよくわからなかったけれど、なんだか惹かれました。そして、そこに「ぶどうパン」を持って行って食べるというシーンが大好きでした。ぶどうパンが好きでしたから・・・結局は食べ物!なんですね、きっと。。。
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