Archive for April, 2009

* 世界はアレゴリーに満ちているから

2009/04/10 | Filed under 生活 | Tags .

冬の間は、どうなることかといつも思うのですが、春のこの時期になると、何もしなくても庭の植物が自然に芽吹き、1年でいちばん美しい季節をむかえます。小さな中庭のすみっこの、まったくの日陰に植えているアケビも、たくさん花をつけてくれました。

毎年庭の小さな自然を眺めていると、人の世界に起こることと、よく似ているので不思議な気持ちになります。たとえば、はびこりすぎた古い枝をばっさり切って整理すると、下の方から若くて元気の良い芽がのびてくるとか。同じ植物ばかりが増えすぎた群落は、キャパを超えると、いっきに群落ごと枯れるとか。

こんなふうに何かを何かに喩えるのを「アレゴリー alegory=寓話,比喩」と呼ぶようです。以前養老孟司さんの本で読んだのですが、人間は大脳が発達したので、外界を直接認識するだけでなく、余った大脳で「アレゴリー」を生み出すようになったのだとか。原始的には、丸い石を見て、りんごを連想するようなことから、だんだんに脳の働きが複雑になり、複雑なアレゴリーを生み出すようになったそうです。つまり、植物を見て「人の生き方に似ているなあ」と思ったりするのは、人間の大脳の働きだということです。

つまりアレゴリーはヒトの頭の中にだけ作られているもの。でも、どうして世界にはこんなにもアレゴリーが満ちているのでしょう。そのようなことを、たまに考えます。宇宙には、何かひとつの大きな法則のようなものがあって、ヒトの大脳の中で、法則でつながるそれぞれの現象が、アレゴリーとして 串刺しのお団子のように並んでいる。。。そういうイメージが浮かんできました。これもアレゴリーなんでしょうね。

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* 小島一郎写真集成

2009/04/07 | Filed under アート | Tags .

10年くらい前、40歳代、50歳代の人の話を聞くと、若いころに比べて興奮したり感動したりすることが少ない。と 多くの方が仰いました。その時には、どういうことなのかよくわからなかったけれども、最近では、すこしわかる。それは、わたしにとっては いたずらに気持ちがブレない、落ち着いた心の状態とも言えるようにもおもえます。

そんな日々ですが 「興奮」「感動」をおぼえました。この写真集に出会って。

小島一郎という、青森や北海道の人や風景を撮った写真家の写真集です。39歳という若さで、1960年代に亡くなったそうですが、生前すでに有名だったらしい。亡くなった後はしばらく忘れられかけていたようですが、このたび青森で写真展が開催されたそうです。

きびしい津軽の風景や、そこに生きる人のすがたは、被写体としてとても生々しいのですが、驚く程、それが造形として昇華されています。とくに最後の方の雪の風景。コントラストの強い焼き方もあって もうほとんど抽象画に近いほど。もし、身近な人が、こんな写真を撮ってたら、「こんなに研ぎすまされてしまったら、この人もう死んでしまうのじゃないだろうか」と心配になると思います。それくらい透明感があり、息をのんでしまいました。

こんな写真、実物を見てみたいものだと、おもいます。本によると、ピューリッツァー賞をとった報道写真家(戦場カメラマン)の沢田教一は、青森で小島一郎が経営していた写真店に勤めていたことがあり、影響を受けたと書いてあったので、小島一郎のスタンスも「ドキュメンタリー」だったのかもしれません。けれども、単なるドキュメンタリーではなく造形美をとことん追求しているのが伝わって来ます。蛇足ながら、生前の写真を拝見すると、小島一郎さん、かなり男前でもあります。

かっこよすぎる写真集でした。

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* 野の花えほん

2009/04/06 | Filed under , , 野の花えほん | Tags .

4月末に あすなろ書房から「野の花えほん」が刊行になります。ほんとうに久しぶりの絵本です。

今、表に出ると 「野の花えほん」に描いた春の花が、今年も次々花開いているのに出会います。ちょうど去年の今頃も、毎日外を出歩いては 花を採ってきて、スケッチを描いていました。

写真の 「むらさきけまん」もこの絵本に紹介した花のひとつ。以前住んでいた家の近所の空き地に咲いていたのを採ってきて、庭に植えているのです。

絵本のこと 絵のこと、思うことがたくさんありすぎて、短くまとめきれません。少しずつ、書いてみたいと思います。

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