* 恩師のことば

2009/05/23 | Filed under アート | Tags .

数日前、恩師の先生と久しぶりにお電話でお話しました。大学に通っていた頃、先生が主宰されていた洋画のアトリエで、美大を受験する高校生の子たちに混じって、デッサンを習っていたのです。

実際に習ったのは2年間、今考えると短い期間ですが、頻繁に通いました。2年目は、自分ももう一回美大に行き直そうと思って、(結局やめて金融機関に就職したのですが)ずいぶん夢中になっていたと思います。先生のアトリエはずいぶん自由な雰囲気で、先生も自分の油絵を描きながら、みんなてんでに描いて、好きなおしゃべりをして。みたいな感じでした。

先生は、最近刊行された「野の花えほん」を見てくださったのですが、おっしゃるには「上手くなったらあかんで。上手い人はようさん(←関西弁で沢山の意味)いてるからな」。

実は、このコメントは、学生の頃から繰り返し、先生に言われていて、もう無意識にインプットされています。一番最初にこの言葉を聞いたのは、「絵が下手なので上手くなりたいんです」と、習い始めの時に相談した時だったと思います。

その時は、何もわからなかったけれど、確かに、技術的に上手な描き手の方は本当に沢山存在しているので、その部分では全くわたしは太刀打ち出来ないはずでした。でも、その言葉を最初にガツンと言われていなかったら、今こんなに絵を楽しく描けるようにはなっていなかったと思うのです。

そういえば先生は、一昨年のカレンダーを見て「うっわー 下手やなあ!!」とも。正直、最近ではそんな事言われるのに慣れてないので「えっ(汗)」。

先生はつねにそんな調子で、お話すると、いつも空がさーっと晴れ渡るような小気味良さがあります。20〜21歳の本当に短い間、先生との出会いがなければ、今のような絵本や絵の仕事が出来ていなかった可能性は大。若い時にどういう大人と出会うかは、その後の人生にずいぶん影響してくるのだと 今さらながら実感します。



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