* 少年少女文学全集

2006/11/20 | Filed under | Tags .
結局1ヶ月に一回しか更新できていないブログ状態・・・どうしてかフォントのサイズを変えるツール画面が消えて、どこに行ったかわからなくなったりして、まごまごしています。
この間、スタッフと子供のとき読んだ本の話になりました。前回、「こうさぎましろ」のことを書いたけれど、実際わたしの子供の頃は、今ほど絵本が豊富になかったような気がしますが、わたしよりもかなり若い世代のスタッフたちも、わりと同じ気持ちのようでした。そのかわり、お話の本みたいなのが今よりもずいぶんあったように思います。ゲームとかもなかった時代ですし、子供が家で退屈する時間も結構あって、ずーっと読んでいられる本は、それなりの需要があったのかもしれません。
わたしの家にあった本の中で、大きな場所を占めていたのは「少年少女文学全集」みたいな本。ほとんど大人向けと変わらない文章で、ただふりがなが多いような感じのものでした。その中にはスタンダールの「赤と黒」とかモーパッサンの「女の一生」とか、トルストイの「戦争と平和」とか、あとエミリ・ブロンテの「嵐が丘」なんかが入っていて、今あらためて考えると、子供の読む本の内容としては、セレクトがシリアスで重過ぎるのでは、と思うのですが、小学5〜6年の頃、結局それしか読むものがないので、読んでいました。今どきの小学生は、「チャーリーとチョコレート工場」とか、楽しそうなものをいっぱい読んでいるみたいなので、ちょっとうらやましい気がします。
正直言って、スタンダールとかモーパッサンなんて、今時仏文の大学生でも、あんまり読まないんじゃないかと思うんですがどうなんでしょう。「赤と黒」は、貧しくて出世欲に燃えた美青年が、家庭教師先のお母さんと不倫の恋をして、欲望と出世欲に翻弄されたあげくに破滅するというストーリーですし、「女の一生」は、ほんわかして苦労を知らない裕福な家庭で育った少女だった主人公のジャンヌが、恋をして結婚するけれど、夫は浮気ばかりして夢破れて・・・みたいなお話でした。そんなストーリーを小学生に読ませるって、どうなの?それに、時代背景がよくわからないから、「赤と黒」なんてそれほど理解できなかったです。でも、不思議なんですが、子供なりに何となく「このお話はなんだかすごい」とか、そういう事は感じてたような気がします。「このお話は、お説教臭いだけだな」とか、思ったりしていましたし・・・でも「戦争と平和」は長過ぎてどんなお話だったか、もう忘れてしまいました。
一番あとまで心に残ったのは、「嵐が丘」で、子供ながらに読んだあと強烈な印象を持って、おとなになってからも何度か読み返しました。「嵐が丘」などは、言ってみれば「文学のアンティーク」みたいなもので、そこに今の製品としてのものも売られているのに、なぜかアンティークのリネンのタオルとか、レースとか、洋服に惹かれるのと同じようなものかもしれません。いろんな角度から謎解きができたりして、構造が単純ではなく、時代を超えていく魅力があるような気がします。子供には重かったですが・・・
子供としては、当時一番好きだったお話は、「秘密の花園」だったかな、と思います。鍵がかかる花園=お庭というイメージがあんまりよくわからなかったけれど、なんだか惹かれました。そして、そこに「ぶどうパン」を持って行って食べるというシーンが大好きでした。ぶどうパンが好きでしたから・・・結局は食べ物!なんですね、きっと。。。



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