* 野の花えほん 秋と冬の花

2010/07/26 | Filed under , 野の花えほん | Tags .

「野の花えほん 秋と冬の花(写真右)」が出来上がりました。

去年の今頃から11月頃までずっと、近所の川縁や道ばた、森のそばなどを歩いて野の花を探し、絵のエスキースを描くという毎日でした。掘り出し物の草花がみつかる、数々の「穴場」もあったのですが、それらの多くは暫定的な空き地で、今はなくなっている所もあります。キツネアザミのいっぱいあった空き地には家が建ち、川縁の美しいイシミカワの茂みがあった場所は、この間の大雨による増水で根こそぎ土が全部流れて川になってしまいました。

はびこる時には「雑草」と呼ばれたりもしますが、野の草花の存在は、こんなふうに時として儚いものです。だから、こうやって描きとめて、本の中にしまっておきたくなるのだと思います。

春夏と秋冬、2巻セットの本なので、こうやって2冊を並べられる日が待ちきれず、見本が届く前日の夜は、そわそわして寝付けませんでした。(この本の製作にたずさわって下さった、編集の吉田さん、装丁のタカハシさん、デザイナーのカワイさん、佐久印刷さん、そして、版元のあすなろ書房のみなさま、ほんとうにありがとうございました)

本が出来上がる時というのは、うれしいと同時に、とても緊張します。また、ページ数の都合で入れられなかった植物もいろいろとあったり、作っている途中はこれ以上余力がない状態の全力投球なのに、終わってみると、もっとあんなことも、こんなことも、と至らない点が目についたりもします。

ジャズシンガーの綾戸智恵さんが「一つアルバムが出来上がると、不完全な所に気づいてしまう。それで、また次のものを作りたいと思える」と書いておられましたが、私も同じ気持ちです。

たぶん、自分の作ったものに100%満足できる瞬間というのは、永遠に来ないのでしょう。。。それでもやっぱり本を作るのが好きです。

「あんなことも、こんなことも」という気持ちを次への原動力に、次の作業を始めています。

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