* 透析しながら食道楽

2010/09/24 | Filed under | Tags .

「透析しながら食道楽 何を食べても大丈夫」飛鳥新社

友人が書いた本を読みました。キャッチーなタイトルです。

わたしにとっても20年来の友人である著者の朝倉めぐみさんは、イラストレーター。広範囲に活躍しているので、彼女の絵をご存知の方もいらっしゃると思います。その朝倉さんは、じつは数年前から人工透析を受けているのです。

朝倉さんは、お料理がとても上手で、本人も食べることが大好きな方。食に関してのセンスの良さはずば抜けていて、私も若いころからいろいろ教えてもらったりしてきました。

そんな方が、食事制限などの厳しい腎臓病になってしまったのですから、因果といえば因果なものです。人工透析になる前にも何年もの間、治療生活をがんばっておられましたが、はたから見ると体調がかなり心配な時期もありました。そして、結果的には、本人にとっても、またまわりにとってもショックではありましたが、透析を受けることになって、その後体調も生活もすごく安定したように見えます。

ところで、一読者としての私がおもしろいと感じたこの本の特徴はといえば。

最近、「食」に関して、とくに女性向けに発信されている内容の多くは、たとえばマクロビオティックの流れをくんだものとか、お肉を使わなかったり、ミルクのかわりに豆乳が使われているなど、ストイックな雰囲気をまとっていることが多いと感じています。写真や見せ方もそうだし、基本的にはストイックな生活スタイルへの希求というものがあって、食も位置づけられるという感じ。

でも、朝倉さんのこの本は、食に関する限りは、ストイックの正反対。美味しいものは透析してても、量を減らしてでも何でも食べたいし、肉もバターも礼賛、イギリスやフランスでも透析の予約をして、身軽に海外旅行もしてしまうし、友達を招いて、おいしい食事を作ってもてなして楽しく過ごすのが大好き、そしてご主人のためにもいつもたっぷりと手料理を作ってしまうような毎日。つまり、この著者は食というものを通して世界を愛でているので、だからストイックではなく、愛情がてんこ盛りなのです。

とにかく、この本は、家族や自分自身が、腎臓病、その他の病気にかかってしまって落ち込んでいるとしたら、この本はすごく元気を与えてくれる本だと思います。

そして、シトロンコンフィという食材のこととか、りんごのポタージュスープのレシピとか、エシレのバターケーキの話題などの食にまつわる話題は、透析話とは関係なしに楽しめるし参考になります。

次は、そういう食べ物のお話だけをあつめた、可愛いお洒落な朝倉さんの本が出たらいいな、とも思います。



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