Archive for September 17th, 2011
* 日本みつばちの養蜂見学
2011/09/17 | Filed under 動物 | Tags ミツバチ.近所の川べりのヤブカラシ(ぶどうの仲間)は、今 花盛り。目立たない花ですが、日本みつばち(上の写真左)やちょう、あしながばち、それにおおすずめばち(写真右)までもが たくさんあつまっています。
去年の夏の思い出なのですが、機会があって、日本みつばちの養蜂を見学させていただきました。
日本みつばちが なんだか気になるようになったキッカケは、わが家の表の花壇に植えている「カラミンサ」の花にいつも、みつばちがいっぱいあつまってきていたことから。あるとき、 それは、養蜂で飼われる西洋みつばちではなく、日本に昔からいる、野生の日本みつばちだと知りました。
ここ数年、アメリカやヨーロッパを中心に、養蜂業で飼われている巣箱のみつばちが、わずかな幼虫と、大量の蜜をのこして、ほとんどいなくなってしまう「大量失踪」がおきているそうです。
ネオニコチノイドという昆虫の神経に作用する農薬の影響でみつばちが巣箱への帰り道を忘れてしまうとか、ミツバチヘギイタダニの被害や気候変動とか、原因はいろいろな説があり、はっきりとはわからないもよう。
その話を聞いて、始めて知ったのは、養蜂として飼われる「西洋みつばち」というのは、元はアフリカにいた野生のみつばちを改良して作った「家畜」だということ。
その家畜のみつばちに、アメリカではアーモンドやメロン、各種ベリー類など、実をつける作物の大規模農業(トウモロコシなどイネ科の風媒花を除く)は、みんな西洋みつばちに受粉を頼っています。アメリカには、もとはみつばちはいなかったので、先住民(インディアン)は、みつばちを「白人のハエ」と呼び、みつばちが飛んで来ると、やがて白人がやって来る不吉な知らせと受けとっていたとか。
アメリカやフランスなどでは、徹底的に効率を追求して管理された西洋みつばちと共に、工業のように管理された大規模農業が一緒に発達してきたので、今、そのみつばちに急激な異変が起きていることが、欧米を中心に、大問題になっているそうです。
日本の西洋ミツバチ養蜂でも、実際に養蜂家の方にお話をお聞きすると、割合としては少ないけれども実際に失踪も起きているようで、いちごの受粉用の西洋みつばちが足りないという事が起きるなど、兆しがあるそうです。
そのような中、日本には、野生の「日本みつばち」がいて、わたしたちのような都市生活者が ふだん身近に見かけるみつばちは たいていが日本みつばちなのです。
西洋みつばちと日本みつばちは、慣れると比較的すぐに見分けられます。おなかのしましまがわりとくっきりと見えて黒っぽければ日本みつばち、しましまがぼんやりぼやけていて、おなかがオレンジ色であれば、西洋みつばちです。ただ、わたしの家の近所では、西洋みつばちは 見かけたことがありません。近所に養蜂所がないのだと思います。
日本みつばちは、江戸時代までは養蜂で飼われてもいたのですが、西洋みつばちと比べ、はちみつの生産量が比較にならない程少ないという理由から、養蜂産業の中では、明治のはじめに西洋みつばちが導入されて以来、ほとんど飼われて来なかったそうです。
農業地帯では農薬の影響が避けられないのに比べて、逆に農薬の影響がほとんどない都市部は、今、日本みつばちにとっては 意外と暮しやすいのではないかと言われています。野生の蜂なので、空き家の屋根裏、木のうろ、お墓の納骨空間など、狭い隙間があって中に空間があるような所があれば、どこにでも巣を作れるので、都市部でも生きていけるのです。
西洋みつばちの方は、人の手を離れると、1年も生きていけないのに比べて、野生の日本みつばちは、たくましく生き続けていて、さまざまな植物の受粉を手助けてくれています。日本の野山や、畑は、日本みつばちがいて 成り立っているというわけなのです。そして、海外でみつばちの大量失踪が起きて、このままでは農業へのダメージが甚大になる、、とさわがれているとき、心配しながらも、「でも 日本には野生の日本みつばちがいるしね」と 落ち着いていられるというわけ。
そう考えると 日本みつばちが とても愛しくなってしまい、ひょっとして、うちにも日本みつばちの巣箱置けたりして?!とも思ったのですが、実際の養蜂を見学すると、やっぱり、うちのような住宅街ではとても無理ということがわかり、自宅に巣箱を置くという案は廃案になりました。
で、とりあえずは、みつばちのあつまってくるカラミンサを、3株にふやしてみたりしています。
日本みつばちの蜜は濃厚で、しかも野山のいろんな花から採取する百花蜜なので、味もさまざまです。お邪魔した養蜂園さんの蜜源にはミカンの花などがあるそうで、柑橘系のさわやかな風味がありました。また、日本みつばちの蜜は、蜜が 長い時間をかけて 少しずつ発酵するので、あの濃厚な風味になるのだそうです。
↓たっぷり蜜がためてある巣 ↓日本みつばち
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